修繕&リフォームのポイント
どうしても経営に経費を回し、頑丈な建物である工場や倉庫の修繕・リフォームが先送りになりがちですが、それは長い目で見ると損をしている可能性があります。
工場や倉庫を修繕・リフォームすると、多くのメリットがあるからです。
ここでは、修繕・リフォームのメリットと、どこに注目して修繕・リフォームを行ったらいいのか、工場・倉庫ならではの修繕・リフォームのポイントをくわしくご紹介します。
目次
1. 工場・倉庫の修繕やリフォームの目的
工場や倉庫の修繕・リフォームをする目的は、機能性に関する問題だけでなく、そこで働く従業員の方々の労働環境にも影響を与えます。
まずは工場や倉庫の修繕・リフォームの目的や、メリットについて確認していきましょう。
(1)雨漏り防止と建物を長持ちさせる
工場や倉庫で雨漏りが発生すると設備や商品を濡らしてしまうので、工場・倉庫の維持管理において、雨漏りは確実に防止しなければいけない項目です。
工場の雨漏りによって商品が濡れてしまった、機械が破損してしまった、という場合には補償や修理で経営上大きなダメージを受ける可能性があります。
雨漏りをしている倉庫に大事な商品を預けたい、と考えるクライアントはいないでしょうから、信用が落ちて経営が苦しくなってしまう可能性もあります。
また、外壁や屋根のひび割れから雨水が浸入し、そのまま放置しておくと建物にも大きなダメージとなり大規模な改修工事が必要になります。
工場や倉庫を長持ちさせるためにも、修繕やリフォームは重要なのです。
(2)資産価値の維持・向上
工場や倉庫は企業にとって大切な資産ですし、その内部に設置されている機械などの設備も高額な資産です。
これらの資産価値を維持するために修繕・リフォームを行います。
また、新しい事業展開のために工場内をリフォームして、最新の機器を導入すれば資産価値は向上します。
(3)機能面や職場環境の向上
工場や倉庫の外壁や屋根は紫外線や雨水に長い期間さらされると、経年劣化により防水効果や遮熱効果が低下していきます。
防水機能が低下すると雨漏りしやすくなりますし、遮熱効果が低下すると夏場は室内の温度が高くなるやすく、冬場は室温が下がりやすくなります。
特に猛暑日が増えてきている近年では、夏場の室温の上昇は労働環境に大きな影響を及ぼします。
冷房を全開にしても室温が30℃までしか下がらない場合など、従業員の熱中症などのリスクが高まり、作業中の事故や従業員の離職にもつながりかねません。
適切な修繕・リフォームによって従業員にとって働きやすい環境を整備するだけでなく、断熱リフォームや遮熱塗装を施すことによって、省エネ効果で余分な経費を軽減できます。
(4)外観の維持
修繕・リフォームをせずに放置しておくと、外壁や屋根の塗装が剥げたり、ひび割れやサビなどが発生したりします。
外壁や屋根の塗装が劣化すると、工場や倉庫の機能性が低下するだけでなく、外から見たときの清潔感も失われ、企業イメージも低下してしまいます。
工場や倉庫を丁寧にメンテナンスして外観を維持していくことは、企業の評判や信用を維持していく上で重要なのです。
(5)作業効率や従業員の安全性向上
人口減少によって働き手が不足していく中で、従業員の安全性までしっかりと取り組めているのかどうかは求人にも大きく関わってきます。
床も経年劣化していきますので、定期的なメンテナンスで、床が滑らないように滑り止めテープを張ったり、滑り止め効果のあるコーティング加工したりすると従業員の安全性は向上します。
建材の表面を汚れにくくするための防汚機能塗料を床に塗布する方法もあります。
このように安全・安心な労働環境を整備すると、事故が減るだけでなく、従業員の意欲も作業効率も向上します。
そしてこのような取り組みは求人の際のアピールポイントにもなりますので、人手不足の問題改善にもつながるでしょう。
2. 工場・倉庫の修繕やリフォームのタイミング
工場や倉庫の修繕・リフォームのタイミングのついては、耐用年数が目安になります。
折板屋根の耐用年数は20年ほどで、波型スレートだと25年ほどです。
こちらはあくまでも定期的なメンテナンスを施した上での話ですから、10年に一度は点検をし、すぐ補修できるような劣化の状態を発見して修繕・リフォームを行う必要があります。
耐用年数内であれば塗装による修繕で対処できますが、耐用年数を過ぎると外壁材そのものの修繕やリフォームが必要となる可能性がありますので、カバー工法または屋根の葺き替え工事となります。
外壁についても定期的に点検をし、外壁の表面やシーリングにひび割れがあったり、手のひらで触れて白い粉のようなものが付いたりする(チョーキング)状態であれば、早急に修繕するタイミングです。
雨漏りなどが起きる前に対処し、修繕していくことが大切です。
柱や床、基礎や梁などにひび割れなどが発生している場合は構造部分の修繕が必要となり、強度を高める補強工事で対処できることもあれば、建て替えが必要になるケースもあります。
耐用年数がひとつの目安になりますが、それ以前に異常箇所が確認された場合は、その時点が修繕・リフォームのタイミングです。
3. 工場・倉庫の修繕やリフォームのポイント
同じ工場や倉庫であっても、紫外線や雨水にさらされている外装と、従業員が作業をしている内部では劣化の状態は異なりますし、修繕・リフォームのポイントも異なります。
工場や倉庫の修繕・リフォームを行う際のチェックポイントについて確認していきましょう。
(1)外装の修繕
屋根や外壁は紫外線や雨水などの影響を受けているため、内部よりも劣化は速くなります。
一番のチェックポイントは、「雨漏りしている痕跡はないのか」「雨漏りにつながるような劣化はないか」という点です。
屋根材や外壁材、シーリングのひび割れは小さなものであれば塗装で修繕可能です。
実際に雨漏りが起こっている場合は、塗装では修繕しきれないので、屋根にもうひとつの屋根を被せるカバー工法か、強度にも問題が生じている場合は撤去してからの葺き替え工事となります。
外壁も同様に内部までダメージを受けている場合は、塗装ではなく外壁材の張り替えが必要になります。
自分では判断が難しいので、専門業者に点検してもらい、最適な修繕を提案してもらうのがベストです。
(2)内装の修繕
工場や倉庫の内部の修繕は、内壁や床の修繕や設備の機能性が衰えていないかの点検になってきます。
従業員の日々の作業の中で水などを利用する場合は、床が汚れたり、劣化したりしていきますので、床面に防水塗装を施すのが効果的です。
従業員が滑って転倒し怪我をすることを予防するために滑り止め塗装も施すと、より安全に作業できる労働環境となります。
床の塗装の剥がれなどが製造の過程で製品に混入してしまうケースがありますので、劣化している場合、床のリフォームはとても重要です。
(3)動線の見直し
工場や倉庫の床には、台車の動線となるラインや、区間の目印となるように色づけされたゾーニングがあります。
こちらもやはり、毎日の作業ですり減ってきたり、経年劣化で色落ちしたりしていきますので、修繕が必要です。
床の塗装をする際には、改めて作業効率の高まるラインはほかにないか検討しましょう。
新しい事業を始めるための機器を導入したのであれば、ゾーニングも見直ししてリフォームする必要があるでしょう。
(4)安全面や労働環境のチェック
工場や倉庫の修繕・リフォームは雨漏りの問題を解消し、生産効率を上げるためだけではなく、床に滑り止め塗料を塗布して安全を確保したり、天井や外壁に遮熱塗装を施したりして室温の変化を軽減させて快適に働ける環境作りにも重要な役割があります。
工場や倉庫の修繕・リフォームに際しては、建物や設備の維持管理だけではなく、こうした安全面や労働環境のチェックをくまなく行い、安全で安心して働ける労働環境を目指してリフォームしていくことが大切です。
4. まとめ
倉庫や工場を定期的にメンテナンスして、修繕・リフォームすると多くのメリットがあり、リスク回避につながります。
大きな問題が浮上する前の定期的なチェックと、問題を発見した場合の早めの対処がとても重要です。
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