小さな修繕いくら?
工場や倉庫は、一度建設してしまえば長期間放置しておいても大丈夫というわけではありません。
定期的にメンテナンスやリフォームを行っていかなければ、大規模な改修工事で高額な費用がかかってしまいます。
ここでは、修繕時期にいち早く気づくための外壁劣化のサインや、その修繕にどのくらいの費用がかかるのかについて、詳しくご紹介します。
目次
1. 外壁劣化のサイン
外壁劣化のサインは、誰が見てもすぐに気づく状態から、よく確認しなければ気づかないような状態まで程度はさまざまです。
外壁をしっかり調べて、以下のような劣化サインが発見された際には修繕やリフォームを検討してください。
(1)チョーキング
工場・倉庫の外壁の表面を手のひらで触れたときにチョークの粉のようなものが付着する状態を「チョーキング」といいます。
これは塗膜が劣化して表面が粉状になっているためです。
外壁の防水機能が低下しているサインですので、塗り替えが必要です。
(2)ヘアクラック
0.3mm以下の髪の毛ほどの細さのひび割れを「ヘアクラック」といい、経年劣化によって外壁の耐久性能が低下しているサインになります。
ヘアクラックは塗装工事で対処できます。
放置しておくとひび割れがより大きくなってしまい、その分だけ大規模改修が必要になります。
(3)ひび割れ
ヘアクラック以上のひび割れ(0.3mm以上)は放置しておくと雨水が浸入し、雨漏りや建物の構造自体に問題が生じる場合があります。
工場・倉庫の建物全体の改修工事は必要ないものの、部分的な補修が必要です。
(4)サビ
防水処理はされていても、時間が経過すると鉄部にサビが発生します。
早期の段階のサビであれば比較的簡単に修繕できますが、放置しておくと腐食して穴が空き、事故が発生する危険性が高まります。
(5)シーリング材の破損
外壁の隙間を埋めるゴム状のシーリング材が硬化して、破損する場合があります。
破損箇所から雨水が入り込み、外壁の下地まで損傷するケースがありますので、早めの修繕が必要です。
(6)塗装の剥がれ
外壁の塗装は、長い期間雨水や紫外線の影響を受けると経年劣化して剥がれていきます。
塗装の剥がれを発見した場合、やはり早めの補修をするようにしてください。
放置しておくと腐食などによって、全面張替えや全面リフォームをしなければいけなくなります。
2. 工場・倉庫の外壁耐用年数と劣化診断
工場・倉庫の外壁耐用年数は塗料の質によって異なり、ウレタン塗料であれば目安は8年、シリコン塗料や遮熱塗料であれば10年、フッ素塗料で12年です。
つまり倉庫・工場を建築またはリフォームしてから10年~15年経過すると、外壁の寿命が近づいていますのでリフォームする必要があります。
(1)サーモグラフィーによる調査がおすすめ
年数は経過しているものの、工場や倉庫は外壁の面積が広いため経年劣化などを探すのが大変です。
また、目には見えない内部が劣化している可能性もあります。
外壁を破壊せず、内部の劣化状況を確認するには「サーモグラフィー」による調査がおすすめです。
外壁材が浮いている部分や、内部に雨水が浸透している部分は表面温度が変わってきますので、赤外線カメラを使えばそういった箇所をすぐに確認できます。
サーモグラフィーを利用した調査によって劣化状況が判明し、必要なリフォームを選択できます。
(2)早めの修繕が結果的に長持ちと低コストに
小さなひび割れや目立たない程度の塗料の剥がれなどは放置しておいてもいいように感じますが、放置している間に雨水の影響などを受けてしまうと、建物の構造自体に問題が生じてしまう可能性があります。
大きな改修工事になってしまうと、高い工事代金を支払うだけでなく、長い工期によって経営にも支障が生じてしまうでしょう。
劣化サインを見つけたらすぐに対処することで、長い目で見たときに改修費用を抑えることができ、工場・倉庫も丈夫に長持ちします。
3. 小規模修繕の価格
工場や倉庫の大規模なリフォームではなく、劣化修繕を必要な部分だけに絞ると修繕費用はどのくらいになるのかについて解説していきます。
(1)部分塗装の価格
チョーキングやヘアクラックなどの箇所を「部分塗装」で修繕する際は、どの塗料を使用するのか、どのくらいの面積を塗装するのかによって価格が異なります。
ウレタン | シリコン | 遮熱 | フッ素 | |
---|---|---|---|---|
100㎡ | 約50万円 | 約60万円 | 約60万円 | 約70万円 |
180㎡ | 約80万円 | 約100万円 | 約100万円 | 約120万円 |
360㎡ | 約170万円 | 約200万円 | 約200万円 | 約240万円 |
540㎡ | 約260万円 | 約300万円 | 約300万円 | 約350万円 |
1,080㎡ | 約530万円 | 約600万円 | 約600万円 | 約710万円 |
もちろん外壁のほかの部分と別の塗料を使うと違和感がありますので、部分塗装であれば元々の塗料と同じものを使います。
部分塗装は工期も短く、修繕費用も抑えることができますが、一部分のみを再塗装しますので色ムラは出やすくなります。
また、ほかの部分でも同じような不具合が発生した場合は、その都度部分塗装をしなければいけません。
トータルの修繕費用を抑えるのであれば、足場設置も一度だけで済む「全面塗装」がおすすめです。
全面塗装をする際には、これまでウレタン塗料やシリコン塗料を使っていたのであれば、これを機会により耐熱性の高い遮熱塗料や、耐久性に優れたフッ素塗料に変えるという方法があります。
(2)ひび割れ修繕・サビ補修・シーリング材打ち替えの価格
続いて、ひび割れ修繕やサビの補修、シーリング材の打ち替えの費用について確認していきましょう。
ひび割れの部分修繕は1㎡あたり1,700円~2,500円、シーリング材の打ち替えは1mあたり500円~1,000円が価格の目安です。
サビの補修は、状態によって価格が異なります。
サビの状態 | 価格の目安(1㎡あたり) | |
---|---|---|
4種ケレン | サビは少なく、汚れが目立つ | 200円~400円 |
3種ケレン | サンドペーパーが必要な状態 | 500円~1,000円 |
2種ケレン | 電気工具が必要な状態 | 1,300円~2,000円 |
1種ケレン | 腐食や劣化が激しい状態 | 4,500円~6,000円 |
こちらを比較してみただけでも、メンテナンスの重要性がわかります。
劣化が小規模で修繕が簡単な状態であれば、修繕費用は安く済ませることができます。
一方、放置してどんどん悪化してしまうと、同じ面積でも10倍以上のコストになってしまいます。
定期的なメンテナンスを行い、早め早めに修繕していくと、工場や倉庫の寿命が長くなりますし、トータルの維持コストも大幅に抑えられるのです。
4. まとめ
今後も利用していく工場や倉庫を大切に維持していくか、放置して大規模な改修工事を行わなければならいのかは、経営面で大きな違いになります。
また、外壁劣化によって雨水が侵入してカビの原因になったりすると、労働環境の悪化で従業員の意欲も低下してしまいます。
これぐらいのひび割れであればという考えをせずに、できるだけ早めに対処をしていくことをおすすめします。
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