省エネ外壁リフォーム
炭素社会の実現に向けて、中小企業にもCO₂排出量削減に向けた取り組みを求められています。
また、電気代、ガス代、石油代などのエネルギー価格が高騰しているため、経営上省エネに向けた取り組みは重要です。
工場や倉庫を所有する企業の場合は、省エネのための外壁リフォームがおすすめです。
室内の温度を冷房だけに頼らず下げることができますので、電気代を節約し、さらに労働環境を改善できます。
ここでは、工場や倉庫の外壁リフォームにはどのような種類があり、どのくらいのコストがかかるのかについて、くわしくご紹介します。
目次
1. 工場・倉庫を快適にする省エネ外壁リフォーム
工場や倉庫を快適にする省エネ外壁リフォームには、外壁の塗装工事や張り替え工事のほかにも窓の断熱工事や、壁面換気扇の設置や増設などいろいろな方法があります。
何が室温上昇の要因になっているのかを業者に調査してもらい、最適なリフォームを施すことが重要です。
(1)遮熱塗料による外壁塗り替え工事
経年劣化によって外壁の塗装が剥がれてきたり、塗膜が劣化してきたりすると、遮熱効果が下がっていきます。
「遮熱塗料」による外壁塗り替え工事は、軽微なひび割れをリフォームするのに最適です。
近年はアクリル塗料やウレタン塗料、シリコン塗料の利用は減っており、より遮熱性が高く、耐用年数の長いフッ素塗料や無機塗料などの人気が高くなってきています。
フッ素塗料であれば耐用年数は15年~18年ほどになりますのでメンテナンスの回数が少なくできますし、紫外線や酸性雨への耐久性も高いのでおすすめです。
無機塗料も劣化しにくいので耐用年数がフッ素塗料と同じくらい長く、汚れもつきにくいというメリットがあります。
遮熱性を高めるための外壁塗装リフォームであれば、フッ素塗料または無機塗料がおすすめです。
外壁のひび割れが長く放置されていて雨漏りするなど塗装で修繕できない場合は、その上から新しく軽い金属サイディングの外壁を設置する「カバー工法」があります。
外壁が二重になりますので、断熱性や遮音性も向上します。
雨漏りの影響が内部の構造に大きなダメージを与えている場合は、強度の関係でカバー工法では対処できないため、外壁の張り替え工事が必要です。
新たに遮熱性の高い外壁に張り替えるリフォームをした場合、ある程度の費用はかかりますが、高い省エネ効果が期待できます。
(2)窓断熱工事
資源エネルギー庁の調べでは、夏の暑さが室内に伝わる一番重要な部分が「窓」です。
工場や倉庫の窓が単板ガラスであれば、より遮熱効果が高い「複層ガラス」に交換すると、それだけでも室温の上昇を軽減できます。
「Low-E複層ガラス」だとさらに遮熱効果が期待できますので、工場や倉庫の省エネ外壁リフォームを検討する際には、どのような窓が設置されているのか確認してみましょう。
現在の窓をそのまま利用しながら「内窓」を設置して、窓を二重構造にする方法もあります。
窓枠をそのまま使えるので、窓枠を壊して新しい窓を付け替えるよりも費用を抑えられます。
さらに工事期間を短くしたいのであれば、窓に透明な断熱フィルムを張り付ける方法もあります。
ただし、断熱フィルムだと、複層ガラスよりも可視光線透過率や日射透過率は下がります。
省エネ効果を最大限にしたいのであれば、内窓をつけてLow-E複層ガラスを導入するのがおすすめです。
(3)ドア・シャッターの遮熱塗装
外からの熱が室内に伝わりやすいのは窓だけではありません。ドアやシャッターも重要な部分です。
例えばドアに西日が当たり、そこから室温が上昇するといったケースがあります。
対処法としてはドアやシャッターに遮熱塗装をするのが効果的です。
状況によっては、ドアやシャッターの温度を塗装前から10℃以上下げることも可能です。
(4)壁面換気扇の設置・増設
工場や倉庫の必要換気は1時間あたり20㎥でしたが、コロナ禍の影響で30㎥に引き上げられました。
ですから最低限の換気はできていると思いますが、より排気容量の大きな壁面換気扇を設置・増設することで、室内の熱気を排気して室温の上昇を軽減できます。
工場の室内に熱源がある場合は特に重要です。
製品によっては1時間あたり4万㎥を超える壁面換気扇もあり、これを複数台設置することで熱こもりを抑え、効果的に室温を下げることができます。
2. 省エネ外壁リフォームにかかる費用
続いて、省エネ外壁リフォームにかかる費用の目安についてお伝えしていきます。
遮熱塗装による外壁リフォームについては、使用する塗料によって費用は異なり、アクリル塗料やウレタン塗料よりも、遮熱効果の高いフッ素塗料や無機塗料の方が費用は高くなります。
●遮熱塗料価格
塗料 | アクリル | ウレタン | シリコン | ラジカル | フッ素 | 無機 |
---|---|---|---|---|---|---|
1缶あたりの価格 | 5千円~1万5千円 | 5千円~2万円 | 1万5千円~4万円 | 1万7千円~4万円 | 4万円~10万円 | 5万円~12万円 |
130㎡あたりの価格 | 13万円~20万円 | 23万円~26万円 | 33万円~46万円 | 36万円~50万円 | 46万円~72万円 | 65万円~72万円 |
この遮熱塗料の価格に人件費や足場代、洗浄代や諸経費などを加えます。
令和5年3月1日時点での福島県の公共工事における塗装工の労務単価は28,800円です。
これが1日あたり1人の作業員で塗装工事を行った場合の一般的な人件費(人工代)の目安になります。
外壁の広さによっても費用は大きく変わってきます。
ドアやシャッターの遮熱塗装であれば面積が広くないので、低コストで省エネリフォームができます。
その他の省エネ外壁リフォームの費用については、外壁のカバー工法を施工する場合は1㎡あたり1万8千円ほどで、外壁の張り替えとなると1㎡あたり2万2千円ほどです。
内窓をつけて窓の断熱工事を行う場合は、1箇所につき8万円~30万円が目安となります。
壁面換気扇については、1時間あたり4万㎥を超える壁面換気扇の価格がおおよそ70万円です。
こちらは工事費も含め、設置する製品や台数によって費用が大幅に異なるので、直接業者に問い合わせして確認してみるのがいいでしょう。
3. リフォーム中に工場の稼働や倉庫の利用は可能?
省エネ外壁リフォームの際に工場が稼働できなくなったり、倉庫が利用できなくなったりするととても不便ですが、遮熱塗装であれば外からの作業になりますので支障がありません。
塗装作業期間中も工場の稼働や倉庫の利用が可能です。
外壁のカバー工法も外からの工事で対処できますが、外壁の張り替えとなると現在の外壁の撤去作業や張り替え作業期間中の稼働は難しくなるでしょう。
内窓や壁面換気扇の設置工事であれば短期間で完了しますが、外壁張り替えについては長期間かかります。
雨漏りなどで内側までダメージが浸透する前に定期的にメンテナンスを行い、遮熱塗装で省エネ外壁リフォームができる状態を維持するのが経済的にも経営的にも理想的といえるでしょう。
4. まとめ
工場や倉庫の場合、その稼働や利用に支障がなく、コストダウンで効果的な省エネリフォームをするのであれば遮熱塗装が一番おすすめです。
本格的な夏場を迎える前に早めに取り組んでおくことで、冷房の使用量を減らし、電気代を節約しつつ、従業員が満足する労働環境を整備することが可能です。
なお、遮熱塗装については、塗装職人のスキルや経験で差がつきますので、実績があり信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
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