SDGsと国の省エネ支援事業
SDGsという言葉をよく耳にするようになりました。
SDGsは新たなビジネスチャンスであり、また、補助金制度を利用するなどして企業の経営コストの削減などのメリットがあります。
ここでは、SDGsとは何か、国の省エネ支援事業にはどのようなものがあるのかを詳しくご紹介します。
目次
1. SDGsとは?
世界が共有して改善していくべき課題点とその目標が、「Sustainable Development Goals」(SDGs)「持続可能な開発目標」です。
2015年の国連サミットで採択された2016年~2030年までに達成すべき目標で、17のゴールと169のターゲットが示されています。
(1)SDGsの重要性
SDGsには、世界から差別や貧困をなくしていくといった人権や平和に関する目標のほか、深刻な問題になっている地球環境問題を改善していく目標も含まれています。
今後の企業活動において、SDGsにどのような目標が定められており、国がどのような支援を行っているのかを知っておくことは重要です。
・持続可能な社会と企業活動
SDGsに取り組むことにより、地球環境や自然環境が適切に保全されつつ、現在の世代のニーズを満たすような開発が行われる「持続可能な社会」の実現を目指しています。
企業にも同じような目標が示されていて、企業活動が環境破壊や社会の不平等を生み出さず、また経済的な悪影響を与えないような「持続可能な事業」が求められています。
・効率的なエネルギー利用や温室効果ガス削減が企業に求められている
SDGsの17のゴールの中で今回注目していく項目は、7番目のゴールである「すべての人々がクリーンなエネルギーへのアクセスを確保」、13番目のゴールである「気候変動とその影響に対応するための緊急対策」です。
この2つの目標を達成するため、企業には効率的なエネルギー利用や、温室効果ガス(二酸化炭素、フロンガス、メタン、一酸化窒素)の削減が求められています。
SDGsの内容を踏まえて、パリ協定では、二酸化炭素排出量を制限し、気温上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑えることが示されました。
そのため化合燃料の利用はこれまでの1/3にしていく必要があり、企業活動はそれを満たしていかなければなりません。
(2)事業者が省エネに取り組むメリット
SDGsの重要性が明らかになっても、企業が取り組むことで経営損失が大きくなるようでは経済界に浸透していきません。
そのため国は徹底的な支援を行っており、さまざまなメリットがあるからこそ多くの企業が率先して取り組んでいます。
例えば「省エネ」に取り組むことで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
- SDGsに積極的に取り組むことで、企業のイメージアップになる。
- SDGsに取り組んでいることを示すことで、資金調達が有利になる。
- 省エネ対策によって光熱費などのコストを削減できる。
- 省エネ設備投資に対して国からの補助金が支給される。
それでは具体的にどのような省エネ支援事業が整備されているのかについて、次の章で説明していきます。
2. 国の省エネ支援事業
国の省エネ支援事業には、経済産業省資源エネルギー庁が主催となっている補助金制度のほか、中小企業庁が主催している事業再構築の補助金制度、ものづくり補助金などがあります。
該当する場合は申請し、審査に受かると補助金が支給されますので、対象となるのか事前に確認しておくことが大切です。
(1)省エネ補助金の抜本強化
中小企業の潜在的な省エネ投資需要を喚起するため、国は省エネ補助金を抜本的に強化する取り組みを始めています。
エネルギー価格の高騰に対応するための省エネ設備投資に複数年に渡り支援できるよう、500億円(国庫債務負担行為の後年度分を含めると1,625億円)の第2次補正予算額を設定しました。
これは令和4年から今後3年間に集中して支援していく仕組みになっており、3年間の総額予算は5,000億円規模になります。
家庭の住宅省エネ化への支援額は別枠となっており、令和4年度の予算額でおよそ2,800億円です。
(2)事業者向け「省エネ支援パッケージ」
事業者向けの省エネ支援パッケージには2つの柱があります。
1つ目は、非化石エネルギーに転換する設備投資や高性能の省エネ設備や機器の更新に対して一定の補助金を支給することです。
省エネ設備への補助金額については事業区分や工事費などによって異なりますが、30万円~15億円です。
2つ目の柱は20億円の補正予算案を組んで省エネ診断の拡充を目指しています。
今後、省エネ診断やアドバイスができる人材を育成し、企業のニーズを満たす省エネ方法を提示していきます。
(3)節電プログラム促進事業
電力の需要ひっ迫に対応するため、事業者や家庭に向けて「節電プログラム」の仕組みが作られました。
令和5年度については未定ですが、令和4年度の取り組みでは、節電プログラムの登録をした企業に対して一律20万円を支給しています。
また、12月~3月という電力需要が高まる時期に前年同月比で一定の電力削減を行った場合、月2万円の補助(月間型プログラム)や、電力会社が指定するベースラインよりも電力削減を行った場合は注意報・警報時1kWhあたり40円、通常時は1kWhあたり20円の補助(指定型プログラム)となっています。
(4)事業再構築補助金
中小企業の新しい市場の開拓や事業の転換・再編を支援するのが、事業再構築補助金です。
こちらでは、エネルギー価格や物価上昇といった経済環境の変化で売上が減少している事業者の支援拡充も行っており、危機に強い事業へ再構築する事業者を優先する緊急対策枠を設けています。
補助金の上限は申請枠によって異なりますが、500万円~1,500億円です。
(5)オフィス改修に使える「ものづくり補助金」
オフィスを改修し、設備投資によって生産性がアップする場合、中小企業庁に申請し審査を通過すると「ものづくり補助金」が支給されます。
省エネ対策を推進するためのグリーン枠も新設され、温室効果ガスの排出削減への取り組みを支援しています。
補助上限額は従業員の人数などによって異なりますが、以前よりも増額されており、750万円~1,250万円です。
3. まとめ
SDGsは世界共通の目標で、日本は率先してその模範になれるよう支援活動に力を入れています。
この機会を利用して、省エネ設備を導入していくことで、これからの時代のニーズに合った企業として成長していくことができます。
補助金制度は申請が必要ですし、審査を通過する必要がありますので、企業として省エネに取り組む際はその基準を満たしているかどうか確認して始めるようにしましょう。
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